六本木の特派員からの報告であった。
鹿が夜の芋洗坂に現れたという。
芋洗坂だけに、現れたのがハリネズミなら驚かないが(その意味はお判りであろうか?)、そこにいたのは鹿であり、それもただの鹿ではなく、人間鹿であったというのだ。
人間鹿ということは、アオニヨシ氏であろう、とエヴァンジェリスト氏は思った。
特派員は、人間鹿は、『YOU』系の『遊び』をしているというので(『YOU』とは、『YOU は何しに日本へ?』の『YOU』である)、
「人間鹿は、六本木にいる外国人に『Where are you from?』と話しかけているのか。テレビ東京の番組の真似っこ遊びをしているのか!」
と思った。
しかし、特派員はエヴァンジェリスト氏の無知に呆れたのであった。
「あ~。アナタは何もわかっていらっしゃらない」
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「『YOU』に話しかけているんですよ、判りますか?」
侮蔑の表情を浮かべ、特派員は、エヴァンジェリスト氏に問うた。
「『Why did you come to Japan?』って訊いているんですよ、『YOU』に」
やはりテレビ東京の番組の真似をしているのではないのか。アオニヨシは仕事で忙しく、そんな『遊び』をしている暇はないと思っていたが。
「子供じゃあるまいし、そんな『遊び』はしませんよ。ナンパです。『YOU』をナンパしているんですよ」
アイツが『YOU』好きであったとは知らなかった。
「何しろ、人間鹿は、またの名をエゾ鹿ならぬ『エロ鹿』というのではないですか!」
なるほど、確かにアイツはエロ鹿であった(参照:【名古屋:夜の街】鹿、現る)。
「人間鹿は、夜、六本木にいました。そして、姿が変っていました」
えっ、姿が変っていた?
「そうです。昼間、六本木ヒルズ辺りで見かけたときは、まさに人間鹿で、頭部が鹿で体が人間でした」
何が、「まさに」かは知らないが…..
「しかし、夜、ロアビルやミッドタウン近くに、そして、芋洗坂に現れたそれは、頭部と体が逆になっていました。頭部が人間で、体部分が鹿になっていたのです」
そうか、そう云うことなのか!
「そうなのです。体部分が、と云うか、下半身(アソコが)が『野獣』に戻っていたのです」
おおおおお!
「しかし……しかし、妙なのです…….」
特派員は首を傾げて呟いた。
(続く)
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