2017年6月12日月曜日

【野獣会、再び?】六本木に『ケダモノ』、現る!(その6)



かつて六本木にあったとされる『野獣会』が、およそ60年の時を経て、復活されようとしている、という噂があった。

「キーッ」

六本木の夜、ロアビル辺りの上空に、金属音のようなものを聞いたCAのシゲ美とOLのトシ江は、白人女性に声を掛ける「男」を見かけた。

「Hi!」

しかし、「男」からは、肉食系の二人には、直ぐに分る野生の臭いがした

いや、それは「男」であっただろうか?

「違う…..」
「違うわね」

二人は呟きあった。

「Where are you from?」

と続けて白人女性の声を掛ける「男」は、人間ではいことは、『野生』に敏感なシゲ美とトシ江には分るのであった。

….と、二人は、それぞれ肩を叩かれた。

「ね、君たち、一緒に、焼肉食いに行かない?」

とダサい男にナンパされ、振り切り、『野生』の方を見た。

しかし、そこに「男」はもういなかった。

なんだったのだろう?

CAのシゲ美とOLのトシ江は、その時まだ、『野獣会』の復活の噂を知らなかったであった。





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「キーッ」

六本木の夜、ミッドタウン前の路地を入ってすぐ辺りの静かな場所の上空に金属音のようなものが響き渡った。

外国人ばかりで店員も英語で注文を取りに来るサパークラブを出て来たシゲ代とトシ美は、上空を見上げた。

週に二、三度は六本木に来ているが、初めて耳にする音であった。

上空を見上げる二人の横を一つの影が通り過ぎた。

「え?......何、今の?」

シゲ代とトシ美は、互いに相手に同じ質問を投げかけた。

野生の臭いであった。肉食系の二人には、直ぐに分る臭いであった。

「Hi!」

数メートル先に、白人女性に声を掛ける男がいた。

いや、それは「男」であっただろうか?

「違う…..」

トシ美が呟いた。

「違うわね」

シゲ代も呟き返した。

「Why did you come to Japan?」

と続けて白人女性の声を掛ける「男」は、人間ではなかったのだ。

「あら、バナナマンの番組の取材じゃない?」

近くにいたカップルの女性が、カレシにそう云った。

他の人たちには人間に見えるかもしれなかったが、『野生』に敏感なシゲ代とトシ美には分るのであった。

….と、二人は、それぞれ肩を叩かれた。

「君たち、タクシー代出すから、家ついて行っていいかな?」

ナンパだ。新手のナンパだ。向こうも男二人だ。

どこかの番組の真似でふざけている。しかも、二人とも老人であった。

こんな奴らには興味はない。

気になる。気になるのは『野生』の方であった。

シゲ代とトシ美は、肩に手を回している老人二人を振り切り、『野生』の方を見た。

しかし、そこに「男」はもういなかった。

なんだったのだろう?

女医のシゲ代とOLのトシ美は、その時まだ、『野獣会』の復活の噂を知らなかった。




(続く)




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