トンミー夫妻は、『味の素うま味体験館』に入った。『味の素』の工場見学にきたのだ。
「(『「ほんだし®️」コース』だろうか?『「味の素®️」コース』か、或いは、まさか、ボクたちと同じ『「Cook Do®️」コース』ではあるまい)」
直ぐ前を歩くご婦人の臀部から顔へと視線を移しながら、ビエール・トンミー氏は、思った。ご婦人は、並んで歩く娘の方に向き、横顔を見せたのだ。
「(『有紀』さん…..)」
どう見ても、『内田有紀』であった。
「あら、パンダだわ」
妻が云う方を見ると、赤いパンダの人形が、『Welcome』という看板を持って立っていた。
『AjiPanda®️』というらしい。
「アータ、後で記念写真撮りましょう」
「ああ….(チッ)」
『AjiPanda®️』の方を向いている内に、あのご婦人の姿は見えなくなっていたのだ。
受付は、予約した際の名前とコースを告げるだけなので、簡単に済んでしまうのであった。
トンミー夫妻も受付を済ませた。
受付では、『川崎工場見学ブック』と『「Cook Do®️」コース』の名札をもらう。
「ロッカーに荷物預けましょ」
妻に促されて、無料のロッカーに行き、荷物を預けた。『「Cook Do®️」コース』では、ホイコーロー(回鍋肉)の調理体験もあるので、荷物は持っていない方がいい。
「(『有紀』さん…..)」
ロッカーに荷物を預けながらも、目の端であのご婦人を探していた。
(続く)
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