「アータ、降りるわよ」
妻に促された。『アジパンダバス』は再び、『味の素うま味体験館』に戻っていたのだ。
「(もう、『松坂慶子』にはうんざりだ。『立花萬平』が悪い訳ではない)」
『味の素うま味体験館』の2階に上がりながらも、ビエール・トンミー氏は、『松坂慶子』に囚われていた。いや、NHKの朝ドラ『まんぷく』のヒロイン(チキンラーメン、カップヌードルの生みの親である『安藤百福』のモデルである『立花萬平』の妻だ)の母親役である『松坂慶子』に囚われていた。
「(あああ!....な、な、なんなんだ。『松坂慶子』のことなんかどうでもいいのに)」
『味の素うま味体験館』の2階には、キッチン・スペースがある。そこで、調理体験をするのだ。
「アータ、はい、これ」
妻に2つの赤いものを渡された。
「ああ…..」
赤い生地に白抜き文字で「Cook Do®️」と書かれたエプロンと、『AjiPanda®️』のイラストが描かれたバンダナである。
「アータ、向こうを向いて」
妻が、背後からエプロンとバンダナをつけてくれるのだ。
「(んん?.......オ、オー!)」
エプロンとバンダナが赤いので周囲の人たちは気付かなかったかもしれないが、ビエール・トンミー氏の頬は紅に染まった。
「(ああ、ボクは、やはり……)」
そして、エプロンの下にあるので、多分だが、これも周囲の人たちは気付かなかったかもしれないが、ビエール・トンミー氏の股間には、異変が生じていた。
「(そうだ。妻が一番だ…..)」
背後からエプロンとバンダナをつけてくれる妻の胸が、ビエール・トンミー氏の背中に当たっていたのだ。
しかし…….
「(…..?)」
ビエール・トンミー氏はまた、何かに射抜かれているのを感じた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿