「主人とは全然、違うわ」
『内田有紀』に酷似した女性の声である。それが、リアルな声であるのか、或いは、自分の心にだけ聞こえる『声』であるのか、今、ビエール・トンミー氏は、確かめることができなかった。
「二人、もっと近づいて」
『ユキ』と呼ばれる少女が、自分たちをiPhoneで写真を撮ろうとしているのだ。ビエール・トンミー氏と、自分の母親を並ばせ、『Cook Do®️』で回鍋肉の調理体験をした記念写真を撮ろうとしている。
「主人は臭いの。鼻がひん曲がっちゃう」
「(え?『オータニ・リョーヘイ』が?)」
『内田有紀』に酷似した女性の夫は、二枚目の逆輸入俳優『大谷亮平』に似ているらしいのだ。
「うちの人ったら、いつもパジャマなんだもの」
「(う!?パジャマ……)」
ビエール・トンミー氏は、思わず唾を飲み込んだ。
(続く)
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