(【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その90]の続き)
「アータ、知ってるんでしょ?」
マダム・トンミーには分っていたのだ。夫が、ホイコーローは、どうして『回る鍋の肉』って書くのか知っていることを。
「アータって、なんでも知ってるんだもの」
そうだ。ビエール・トンミー氏は、博識であった。
「アタシ、最初はアータが物凄い物知りなところに惹かれたんだもの」
そう云いながら、マダム・トンミーは、頬をピンクに染めた。
「勿論、アータ、社内一のハンサムだったけど、アタシ、面食いじゃないし」
と云ったものの、マダム・トンミーは、自身が嘘をついていることを知っていた。物凄い物知りなところに惹かれたのは、確かであったが、その前に、ビエール・トンミー氏の容姿に参ってしまったのだ。
「でも、付き合うようになってみたら、アータ、インテリだけど、ソノ時は、すっごいワイルドになるんだもの。でも、そんなところも素敵だったわ。…..あら、ま、アタシったら」
マダム・トンミーは、自分の吐いた言葉で自身の股間に『異変』を生じさせたが、男である夫とは違い、その『異変』は他人に悟られることはなかった。
(続く)
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