(【緊急インタビュー、再び】次のルノーCEOは、アナタでしょ?[中編]の続き)
「んぐっ!」
股間に『異変』が生じる程の衝撃であったのか、エヴァンジェリスト氏は、特派員の言葉に動揺を示した。
エヴァンジェリスト氏に、『アナタ、ルノーの次のCEOになるんでしょ?』とインタビューを試み、次に、ビエール・トンミー氏に、『アナタ、ルノーの次のCEOになるんでしょ?』と訊くべく、『質問状』をビエール・トンミー氏の郵便受けに入れ、その後に再び、エヴァンジェリスト氏に、インタビューをしている特派員である。
「トンミーさん、回答書で、訊いてもいないのに、回答書にアナタのこと書いてきた。それ、意味あるね」
特派員は、そう云ったのだ。態とらしいたどたどした日本語だ。
「つまり、トンミーさん、暗示したのね。本命は、アナタだって」
「んぐっ!」
「ルノーの次のCEOの本命は、アナタ、だってね」
「んぐっ!」
「アナタ、ルノーの次のCEOになるね?」
「知らん、知らん!事務所を通してくれ!」
「事務所って、石原プロ?」
「んぐっ!.....そ、そ、そんなことまで….」
「アナタ、まき子夫人のこと考えて、ルノーの次のCEOになる決心つかないのね?」
「き、き、君は、まき子夫人ことまで知っているのか」
「でも、アナタ、自宅にまだミニテル端末持ってるね」
「ど、ど、どうして、それを….」
「もうミニテル端末使えないのに、PHILIPSのミニテル端末持ってるね」
「んぐっ!」
「そのミニテル端末、英語キーボードだけど、見ていたサービスは、フランスのサービスね。東京日仏学院で提供していたミニテル・サービス『JITEL』にも接続していたけど」
「んぐっ!」
「フランス大使館のアタシェの後、東京日仏学院の副院長になったパトリス・ジュリアンさんとも親しかったね。オランジュ(Orange)の幹部にも、ああ、昔のフランステレコムね、アナタの友だちいるね。エコール・ポリテクニーク(École polytechnique)出身のエリートね。モロッコにも知り合いのフランス人いるね。国際的な通信衛星関係のビジネスをしている偉いフランス人とも昔馴染みね」
「んぐっ!...どうして、そこまで…..」
「アナタ、学位論文も修士論文も『フランソワ・モーリアック論』ね。その下書き、今も、自分の部屋の棚に置いてるね」
「き、き、君は……」
「『フランソワ・モーリアック論』のテーマは、『見る』ね。アナタ、『己を見る』ことに拘りあるね」
「そ、そ、そうかあ….」
「アナタ、フランスととっても関係深いね。日産や三菱自動車とルノーとの関係考えると、アナタ、ルノーの次のCEOになるのがイチバンね」
「き、き、貴様あ!ビエール・トンミーの回し者だなあ!アイツへの質問も、アイツからの回答もフェイクだなあ!」
「Sans commentaire!」
と、特派員は踵を返して、TGV並みの速さで去って行った。
(おしまい)
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