(住込み浪人[その106]の続き)
「スミローちゃーん!頑張ってえー!」
黄色い声援、いや、少し黒ずんだ黄色い声援が、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年に飛んだ。EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』収録中のスタジオCである。
「(ええ?)」
聞き覚えのある声であった。『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、声のする方に顔を向けた。
「(オバチャン……)」
OK牧場大学の学生食堂でカレー担当するオバチャン『サキ』であった。
「(どうして?)」
どうしてもこうしてもない。カレー担当のオバチャンは、応援に来たのである。
「ビエさまあ!」
OK牧場大学の校庭で『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を取り囲んだOK牧場大学の女子学生たちである。
OK牧場大学まで『住込み浪人』ビエール・トンミー青年をスカウトに来た『テイトー王』のディレクターに、
「みんな、スタジオに応援においで!」
と云われていたのである。
「へええ。浪人なのに、すげー人気じゃねえか!」
司会の一人のヒロニが、素で驚いた。
「それがねえ、ヒロニさん。ビエール・トンミー君は、ただの浪人ではないんです」
もう一人の司会者ナンカイノー・アメカイノーが、ついに肝心の説明を始めた。
「おお、よく見ると、結構、ハンサムじゃねえか」
ヒロニは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を凝視めた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿