(住込み浪人[その116]の続き)
「(君とボクとは、価値観を同じくするのだ)」
EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』を収録中のスタジオCで、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、誰に聞かれることもなく、心の声で、観客席にいる友人のエヴァンジェリスト青年に、彼の魂に、語りかけた。
「(そうだ…….だから、ボクは『テイトー』入学を辞退したのだ)」
「(…………..)」
友人は、無言である。
「(だから、ボクは今、答えない。このボードに『椿象』と書かない)」
回答席に座ったまま、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、背筋を伸ばした。
「(何?)」
『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』は、敵の姿勢が自信たっぷりなものに見えたのだ。
「(書けたのね。『椿象』だと知っていたのね。やはり侮れないわ)」
もう一人、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の正解を信じた者がいた。
「スミローちゃーん!さすがよー!」
オバチャンである。OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャン『サキ』である。
(続く)
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