(住込み浪人[その131]の続き)
「Société Nationale des Chemins de fer Français」
回答を書いた『サトミツ』のボードが、大スクリーンに映し出された。EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』を収録中のスタジオCである。ファイナルステージの第3問、今回の最終問題である『SNCF』を『フランス国有鉄道』と見事に答えた『サトミツ』に対して、司会者の一人、ナンカイノー・アメカイノーは、
「では、『サトミツ』、『SNCF』の正式名称をボードに書いて下さい!」
と求めたのであった。
「(ふふ。これで『テイトー』チームの勝ちね)」
と、『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』が、それまでの金剛力士のような形相を緩めた時であった。
「おやあ?ビエール・トンミー君……..」
ナンカイノー・アメカイノーが、手許の確認用モニターを見ながら、妙なことを云い出した。
「(え?.....何?)」
「ビエール・トンミー君、君も分っていたんですね?」
「(はあ?)」
「ちょっと、見てみましょう」
ナンカイノー・アメカイノーは、大スクリーンに『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の回答ボードを映し出した。
「Société Nationale des Chemins de fer Français」
そこには、先程、『サトミツ』が書いたものと同じ文字が書かれていた。
「(え!分ってたの!)」
『サトミツ』は、眼も口も大きく開いたままとなった。
「ほー、お前、すげえじゃん!」
もう一人の司会であるヒロニも感嘆した。
「お前、浪人だろう?どうして、こんなの知ってんの?あ、高校でフランス語習ってたのか?」
というヒロニの質問、というか疑問に頷く者がいた。
(続く)
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