(住込み浪人[その113]の続き)
「(違う!)」
EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』のファイナルステージの第1問として出題された『通称「カメムシ」と呼ばれる昆虫の名前を漢字で書け』という問題に回答しようとした時、何かの光に両眼を射られた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、その光は、『サトミツ』の眼から放たれたものかと思ったのであったが…….
「(何なんだ!?)」
そうだ。その光は、『テイトー』席から放たれたものではなかったのだ。
「(誰だ?)」
その光は、何かの機材が発したものではなく、『サトミツ』ではないが、誰か人間の眼が放っていたのだ。
「(え?)」
その光は、観客席から来ていたのだ。観客席にいる一人の人物の眼が、その光を放っていたのだ。
「(どうして、そこにいるんだ?)」
それは、勿論、OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャン『サキ』ではなかった。芸能人チームのキャプテン『デヴィル夫人』の隣の席につき、
「スミローちゃーん!頑張ってえー!」
という黄色い声援、いや、少し黒ずんだ黄色い声援を聞いた時、既に、オバチャンが応援に来ていることを知っていたのだ。
しかも、オバチャンは、人差し指を口に咥え、涎を垂らしていた。
「ああ、アタシのスミローちゃん…….」
(続く)
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