2019年6月7日金曜日

住込み浪人[その110]







「そう、驚くなかれ、『テイトー』を辞退したんですう!」

EBSテレビのスタジオCで収録中のクイズ番組『テイトー王』の司会者の一人、ナンカイノー・アメカイノーは、高らかに宣言するように、説明をした。

「ビエール・トンミー君は、『テイトー』に合格したのに、入学を辞退し、今、『住込み浪人』をしているのです!」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、クイズ番組『テイトー王』に特別参戦してきた理由が、ここに明かされた。

「ええー!ま、ま、ま、まさかー!」

『テイトー』チームも芸能人チームも共に、驚きの声を上げた。

「(ええー!?どうして?どうしてなの?)」

『サトミツ』が、大きく口を開けたままの様子をテレビ・カメラが捉えた。



「(………)」

『テイトー』に合格したのに、入学を辞退するというのは、『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』の理解を超えていたのだ。

「(んぐっ!)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、あんぐりと開いた『サトミツ』の口を見てしまった。

「(んぐっ!んぐっ!)」

そして、頭ではなく、股間が勝手に、なんらかの妄想を抱いたのだ。


(続く)




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