(住込み浪人[その115]の続き)
「(同じだ)」
それは、心の声というよりも、心のもっと深いところ、そう、魂とも呼ぶべきところから出てきているような声であった。エヴァンジェリスト青年のその声を、EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』を収録中のスタジオCの中で、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年がただ一人、捉えた。
「(君も同じだな)」
「(え?)」
「(あれは、さっきまでの君の姿だ)」
変わらず冷徹な視線を『サトミツ』に向けたエヴァンジェリスト青年の、その魂から出たかのような声である。
「(んぐっ!)」
と、必死な『サトミツ』の姿に『反応』する股間とはアンチノミーな理性は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年をして、友人エヴァンジェリスト青年の云わんとすることを理解させた。
「(そうか…….そういうことなんだな?)」
「(…………..)」
友人は、何も答えない。
「(正解は、判っている)」
「(…………..)」
「(ああ、だが、答えない)」
「(…………..)」
「(そうだ。『サトミツ』はあれでいい。『サトミツ』なのだから)」
「(…………..)」
「(しかし、ボクは……..)」
「(…………..)」
(続く)
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