2019年6月24日月曜日

住込み浪人[その127]







「あれあれ?どうしたのかなあ?『烏滸がましい』と書けたのは、由来も分からず、ただ覚えたからなんですか?『サトミツ』らしくありませんねえ」

司会の一人のナンカイノー・アメカイノーは、『サトミツ』を追い込む。EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』収録中のスタジオCで、何かに囚われ、質問も耳に入っていないような様子の『サトミツ』を追い詰める。

「どうして『烏滸がましい』と書くのか、判らないのかあ!?ただの受験勉強バカなのかなあ?!」

ナンカイノー・アメカイノーの挑発に、『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』は、ようやく自分を取り戻した。

「んもー!判りますう!」

『サトミツ』は、丸く開けていた口を閉ざし、またもや、それを尖らせた。

「『烏滸がましい』の『烏滸』って、馬鹿げてる、とか、愚かってことで、『がましい』って、『のように見える』って感じの接尾辞です」
「では、どうして『烏滸』という漢字なんですか?」
「昔、中国で、黄河や揚子江に集まって騒ぐ人たちのことを、カラスの漢字(烏)と水際を表す漢字(滸)で表現したんです!」



『サトミツ』は、いつもの『サトミツ』に戻っていた。

「(んぐっ!)」

『サトミツ』とナンカイノー・アメカイノーのやり取りを見ていた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は…..いや、口を尖らせながら、ナンカイノー・アメカイノーに向かっていく『サトミツ』を見ていた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、股間を抑えた。

「(ああ、これが『サトミツ』だあ…..んぐっ!)」

(続く)



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