(住込み浪人[その112]の続き)
「(いや、今はそんなことを考えている場合ではない)」
EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』のファイナルステージの第1問として出題された『通称「カメムシ」と呼ばれる昆虫の名前を漢字で書け』という問題は、過去に『テイトー王』で出題されたことがあるのではないか、という疑念を抱いたものの、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、回答終了時間が迫っていることに、気付いたのだ。
「(とにかく、ここは、回答を書こう)」
と、回答ボードに、マジックで『椿象』の『椿』の字の『木偏』を書いた時であった。
「(うっ!)」
マジックを持った右腕を顔に持っていき、両眼を塞いだ。
「(な、な、なんだ!?)」
光が、何かの光が、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の眼を射ってきたのだ。
「(『サトミツ』の視線か?)」
何だか戦いに燃えているようであった『サトミツ』の視線に射られたのかと思ったのだ。
「(テレビで見ている時、『サトミツ』のギラつくような眼に、『んぐっ!』となったものだ)」
確かに、『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』は、その時もギラつくような眼をしていた。
しかし、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の股間は、『んぐっ!』していなかった。
(続く)
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