(住込み浪人[その118]の続き)
「あれあれ?『サトミツ』どうしたのかなあ?『椿象』と書けたのは、まぐれですか?」
ナンカイノー・アメカイノーのツッコミは強烈であった。EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』収録中のスタジオCで、何かに囚われ、質問も耳に入っていないような様子の『サトミツ』を追い詰める。
「いや、カンニングでもしたか!どうして『椿象』と書くのか、判らないのかあ!?」
ナンカイノー・アメカイノーの挑発に、テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』は、ようやく自分を取り戻した。
「んもー!判りますう!」
『サトミツ』は、丸く開けていた口を閉ざし、今度は、それを尖らせた。
「中国に、『香椿』と書く『チャンチン』って臭い木があるです。カメムシって臭いでしょう。だから、『香椿』の『椿』を使ってるんですう」
「ほほー。さすが『サトミツ』。では、「『象』は何ですか?」
「文字通り、『象』(ゾウ)です。口先が、象の鼻みたいですもの」
『サトミツ』は、いつもの『サトミツ』に戻っていた。
「(んぐっ!)」
『サトミツ』とナンカイノー・アメカイノーのやり取りを見ていた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は…..いや、口を尖らせながら、ナンカイノー・アメカイノーに向かっていく『サトミツ』を見ていた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、股間を抑えた。
「(ああ、これが『サトミツ』だあ…..んぐっ!)」
(続く)
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