2020年3月28日土曜日

うつり病に導かれ[その58]






「代わりますわ、お婆ちゃん」

『スミコ』と呼ばれた八重歯の星由里子に酷似した女性が、カウンター越しにビエール・トンミー氏の前に立った。

「(ああ…)」

爽やかで何だかいい匂いの風がビエール・トンミー氏の顔に当った。




「(んぐ…)」

と『異変』が生じかけた時であった。

「あら!」

『スミコ』と呼ばれた八重歯の星由里子に酷似した女性が、正面から、ビエール・トンミー氏の顔を見据えた。

「(んぐ…)」

ビエール・トンミー氏は、慌てて両手で股間を抑えた。

「どこかでお会いしたことありませんかしら?」

『スミコ』と呼ばれた八重歯の星由里子に酷似した女性が、妙なことを云い出した。

「へ?」

ビエール・トンミー氏は、思わず間抜けな声を出してしまった。


(続く)


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