(うつり病に導かれ[その58]の続き)
「福岡行のJANA便にお乗りになったことはありませんこと?」
『スミコ』と呼ばれた八重歯の星由里子に酷似した女性は、『タノ9薬局』に処方薬を求めてきたビエール・トンミー氏に、そう質問した。
「あ、あ、ありますが…」
戸惑いながら、しかし、両手は股間に手を置いたまま、ビエール・トンミー氏は、答えた。
「似ていらっしゃるの」
『スミコ』と呼ばれた八重歯の星由里子に酷似した女性は、はにかみ、八重歯が光った。
「(……?)」
相手の云わんとすることは分らなかったが、好意を持って接してきているように感じる。
「私、JANAのCAをしてますの」
『スミコ』は、ビエール・トンミー氏を正面から凝視め、思いがけない言葉を発してきた。
「へ!?」
己の間抜けな声に、ビエール・トンミー氏は、顔面を真っ赤にした。
「パソコンは、何をお使いですの?」
『スミコ』は、更に思いがけない質問を浴びせてきた。
「は!?」
「Macですの?Windowsですの?」
頭の中の混乱に、ビエール・トンミー氏の股間は、萎んだ。
(続く)
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