「(だけど、何故、アイツは、ボクがこの本で興奮していることを知っているんだ。いや、当てずっぽうで云ってきているだけだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、ベッドサイドのテーブルに置いた本『アーミッシュの老いと終焉』に目を遣った。
「(あ!?アイツ、この本にあの娘の唾がついたとでも思ったんだろうか?いやいや、アイツがあの店員のことを知るはずがない)」
と、その本を購入した駅前の書店の店員であるあの娘の顔、姿を思い描いた。
「(あの娘、レジでこの本に触ったが、唾は飛ばしていない。でも…ああ、あの娘の唾がこの本に飛んでいたのなら、ボクは、キスだけじゃなく、ああ、ああ、この本を舐め回したい!)」
と、また独り興奮し始めた時、Phone 14 Proの画面が軽く、自動でスクロールした。友人のエヴァンジェリスト氏からのIMessegeであった
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「その本にゃあ、『アーミッシュ』の鬼畜な行為のことがようけ書いてあって、アンタ、それ読んで、興奮しまくっとったんじゃろうが」
「はあああん?そう思っとったんかいな」
「そうじゃなかったら、どうじゃったん?」
「ふん!ワテは、そないなことでこの本に興奮なんかしとらんで。第一、まだこの本、読んでないさかい、何が書かれとるか、知らんのや」
「へえええ。『そないなことでこの本に興奮なんかしとらん』いうことは、興奮しとるんは、その本の別の面になんじゃね?」
「え?」
「その本に興奮しとるんは間違いないんじゃね?」
「あ、あんな、アンタ、いつも他人の言葉尻捕えて、勝手なこと云いよるなあ」
「ほいでも、その『アーミッシュ』本の話になったら、アンタ、えろー動揺したじゃないね」
「あ!せや、せやった」
「ようよう、その本で興奮したこと、認める気になったん?」
「ちゃうねん。ワテ、この『アーミッシュの老いと終焉』ちゅう本で興奮したやのうて、この本買うた時のこと、思い出したんや」
「はああ、そういうことなんじゃね。本屋の店員が、アンタ好みの娘じゃったんじゃろ」
「ひょっ…ちゃう、ちゃう!消費税や。アンタ、消費税払わんでもええ、云うたじゃろ」
「正確には、消費者には、消費税の納税義務はない、云うたんよ」
「そやけどな。もう一回、云うがな、ワテ、この本を買った時に、書店のあの店員に、ちゃんと消費税を払うたんや」
「おお、やっぱり、本屋の店員が、アンタ好みの娘じゃったんじゃね?!レジでその本を渡す時に、その娘の手にでも触れたん?」
「アホ、触れとらんわ!」
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「(そうかあ、レジで本の受け渡しの時に、あの娘の手と接触できていたら!今度、本を買う時には!)」
と、ビエール・トンミー氏は、知らぬ間に、友人エヴァンジェリスト氏の戯言に妄想を膨らませたいた。
(続く)
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