「(だが、名前のことになると、話が少し横道に逸れたとしても、黙っている訳にはいかん!)」
と、ビエール・トンミー氏は、決意を抱く必要もない事柄に対して、決意じみた感情を抱きながら、友人エヴァンジェリスト氏宛のiMessageを続ける。
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「ワテ、名前の研究をしてんのや。オモロイこと教えたるで」
「おお、ようよう『さっちゃん』のことなんじゃね?」
「は?何、云うてんねん?」
「アンタ、『さっちゃん』は、本当は、どういう名前か知っとるんじゃろ?」
「あ!?...ああ、『♩さっちゃんはね、サチコっていうんだ、ホントはね』ちゅうことか」
「おお、やっぱり、そうかあ」
「何が、『やっぱり』や。アンタが、『さっちゃん』のこと持ち出してきたんやないけ」
「『さっちゃん』は、本当は、どういう名前なん?」
「オゲレツなアンタのことや、どうせ、ワテがかつて哭かしたオナゴに『さっちゃん』いう娘でもおったあ、云いたいんじゃろ」
「ほおお、『哭かした』かんかあ!?『泣く』じゃのうて、『哭く』なんじゃね」
「ただの入力変換結果や。『さっちゃん』いう娘は、おらんかったあ、思うで」
「おお、断言できんのんじゃね」
「言葉尻を捉えるんやないで。まあ、数ある中におらんかったとは云いきれへんさかいな」
「でも、『サッチー』のことじゃないじゃろ?」
「は?『サッチー』?誰や?」
「『野村沙知代』さんよおねえ。『野村克也』の奥さんよお」
「アホか?誰が、あないなオバハンと!ワテよりずっと歳上やったやんか」
「じゃけえ、『サッチー』のことじゃないじゃろ、云うたじゃないね」
「当り前や」
「で、『鉄の女』でもないんじゃろ?」
「は~あ…」
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「(ホント、疲れる奴だ。折角、名前について、面白いことを教えてやろうとしているのに!)」
と、ビエール・トンミー氏は、鼻腔を膨らませた。
(続く)
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