「(結婚してから家内以外の女性の手に触れたことがない。いや、最近は、家内の手にも触れていない。)」
とビエール・トンミー氏は、本屋の女性店員とレジでの『接触』から妄想を膨らませはしたものの、『云うことを聞かない』自身の『身』(体のある部分)へと視線を落とした。
と、その時、また、
「トゥルントゥ」
『ホルン』音が鳴った。iPhone 14 Proのロック画面に友人のエヴァンジェリスト氏の戯けた画像があった。少しの間、iMessageが途絶え、ロック画面になっていたのだ。
「(けっ!アイツ、まだなんか云ってくるのか)」
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「どしたん?今度、本を買う時にゃあ、その店員の手に触れたろうとでも思うとったん?」
「アホンダラあ!やから、オナゴの手に触れたとか触れるとか、そないな小学生みたいなことで興奮なんかする訳ないやんか」
「ほうかのお…アンタ、やっぱり『アーミッシュ』と同じで、表は清廉潔白雨霰じゃが、裏は『変態』の蝮がトグロを巻いとるんじゃないん?」
「エエ加減にせえや!ワテは、アンタの好きなモーリアックな『蝮の絡み合い』やあらへんのや」
「ああ、その店員の手に触れたら、云うこときかんようになっとるアンタの体も『元気』取り戻すかもしれんで」
「余計なお世話や。問題は、そないなことやないんや。問題は、消費税や。この『アーミッシュの老いと終焉』ちゅう本の裏表紙にもちゃんと、『低下(本体2700円+税)』と書いてあるんや」
「おお、その本は、アンタの『機能』低下のことを知っとるん!?」
「ちゃう、ちゃう。打ち間違いや。iPhoneじゃ、打ち間違いはようあることやないか。ええか、あの本にはやな、『定価(本体2700円+税)』と書いてあるんや。せやさかい、健全なる消費者のワテは、あの店員にちゃんと、2970円払うたんや」
「ふううん。『あの店員』なあ。やっぱりお気に入りの娘なんじゃね」
「もう茶化すなて。『アーミッシュの老いと終焉』ちゅう2700円の本を買うた時に、ワテは、消費税270円もちゃーんと一緒に払うたんや。あの店員じゃのうても、ワテはちゃーんと消費税払うたで」
「ふん!アンタらしゅうもない」
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「(ん?何が、ボクらしくない、と云うんだ?)」
とビエール・トンミー氏は、友人エヴァンジェリスト氏の思わせ振りな言葉に、引っ掛かってしまった。
(続く)
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