「(しかし、『加来耕三』のことを持ち出されたら、黙ってはおれん)」
と、ビエール・トンミー氏は、相手(友人のエヴァンジェリスト氏)の術中に嵌ってしまうことを承知しながら、『加来耕三』の名前をiMessageに打ち始めた。
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「『加来耕三』やな。ああ、ワテは、毎週土曜日の昼の12時から放送しとる、BS-TBSで放送しとる『関口宏の一番新しい中世史』を見とんのや。『加来耕三』先生の授業いうか解説はオモロイで」
「ああ、『川崎』さんかあ」
「へ?なん云うてんのや。『加来耕三』先生の話してんねんで」
「じゃけえ、『川崎』さんのことじゃろ?『加来耕三』の本名は、『川崎耕一』なんじゃないん?『加来耕三』は、ペンネームじゃろ?『横浜ラヴ』のアンタにゃあ、『川崎』じゃのうて『横浜』の方が良かったんかもしれんが」
「ふん!クダラン。ワテは、真面目に日本史を学んでんのや。今、鎌倉時代にはまってまんねん。ぎょうさん鎌倉時代の本読どるでェ。そこでや、『源平合戦はなかった』ちゅうことが分ったんや。アンタ、この意味分かるかあ?」
「ああ、『慶應義塾』では、『早慶戦』はないけえね」
「『慶應』では、『慶早戦』云うねんやろ。そういう意味やないねん」
「『さるかに合戦』は、本当はなかったあ思うんじゃが…猿と蟹とは、戦わんじゃろう。戦うとしたら、猿同士、蟹同士じゃないんかのお?」
「また訳の分らんこと云いよって。でも、まあ、結局は、そういうことや。皆んな平氏なんや。源氏は散り散りになって存在感なかったんや。源頼朝も従者がたったひとりの流罪人やで。実際に、源頼朝に従っていたんは、坂東(関東)の武士団でこれらは皆んな平氏や。平氏やけと清盛に近い羽振りのエエ平氏から蔑ろにされてたモンを頼朝がまとめたんや。せやから北条も平氏やで。源頼朝は階位を持ってた都の貴人なんや。この貴人が坂東の荒くれ武士の平氏を束ねたんや。つまり『源平合戦』やのうて『平平合戦』やったんや。これを学問的には『治承・寿永の内乱』ちゅうていうねんで」
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そこまで一気に、友人エヴァンジェリスト氏宛のiMessageを打ったところで、
「ふうーっ」
と、ビエール・トンミー氏は、息を吐いた。
「(我ながら、鎌倉時代のことに詳しくなったもんだ)」
(続く)
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