2017年9月5日火曜日

『一振り2万円』(前編)[B-Files No.2]



※ ビエール・トンミー氏のアーカイヴ『B-Files』だ。


小学6年生のエヴァンジェリスト氏が、町内(翠町)の小学生ソフトボール・チームでは、控えの投手兼9番ライト、つまり、『ライ9』であったことを知り、ビエール・トンミー氏は、ひとしきり笑った。

「情けない奴だ、へへへへへへ!」




ライトに飛んできたフライは毎回、万歳をして後ろに球を逸らし、打席に立つと、これも毎度、3球3振だなんて、笑止千万だ。

エヴァンジェリスト氏は、最高の友人であるが、滑稽なものは滑稽と云うしかない。

しかし、なんだか悔しい。

エヴァンジェリスト氏は、自身のスポーツ劣等生ぶりを『売り』にしているようではないか。

エヴァンジェリスト氏は、最高の友人であると共に、最大のライバルでもあるのだ。

「いや、ボクの方こそ…..」

ビエール・トンミー氏は、口の端をやや歪めながら呟いた。

「ボクは、『ライ9』以上だったのだ」




(続く)



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