2017年9月26日火曜日

劣化?【『引退』の理由】(その2)






「週刊『ヘンタイ』?聞いたことないなあ」

編集長ブロークン・レッグが、エヴァンジェリスト氏の前にいた。

「週刊チンタイなら聞いたことがあるがなあ」
「まあ、そんなことはどうでもいいので、お教え下さい。私は、ウラを取りに来たのです」
ウラをとる?ワシは、後ろからスルことはあっても、後ろからサレルのは嫌だぞ」



「はあ?貴方も『ヘンタイ』なんですか?」
「なにーい!ワシをビエールと一緒にするな!」
「ええ、そのビエールのことなんです。貴方のお友達のビエール・トンミー氏のことなんです」
「んふ?ビエールのこと?あの『ヘンタイ』の何を知りたいのだ?」
「そう、あの『ヘンタイ』のことです。今は、『ヘンタイ』という言葉が相応しい『ヒヒジジイ』な容貌に成り果てていますが、かつては相当なハンサムであったそうですが、間違いありませんか?」
「ああ、それは間違いない」
「この写真に写っている美貌の青年が、まさか若き日のビエール・トンミー氏とは思いににくいのですが、この青年は本当にビエール・トンミー氏ですか?」

編集長ブロークン・レッグは、エヴァンジェリスト氏に1枚の写真を見せた。彼が、ビエール・トンミー氏に見せたあの写真である。

「おお、懐かしいのお。これは、そう確かにアイツだ。『自由が丘のアラン・ドロン』と呼ばれていた頃ではないかなあ」
「その後、『原宿のアラン・ドロン』と呼ばれるようになったようです」
「夜には、『原宿の凶器』と恐れられていたというか、女性たちからは、『期待』されていたようだがな」
「しかし、その『原宿のアラン・ドロン』『原宿の凶器』が今や見る影もありません。そこで、私は判ったのです。ビエール・トンミー氏が、『引退』した理由が」
「ビエールが、『引退』?」
「ええ、同級生の貴方が未だに会社にしがみついて働いているというのに、4年前(2013年)、ビエール・トンミー氏は、59歳で完全リタイア、つまり、会社を『引退』しました」
「羨ましい奴だ」
「それは、ビエール・トンミー氏の容貌が『劣化』してきたからだったんです。かつては相当なハンサムで、何人もの女性を哭かせてきた自らの美貌が無残になるのに耐えかねたのです」
「いや、それは…..」
「ええ、もう判ったのです。貴方の証言で、この写真のハンサム・ボーイが、若き日のビエール・トンミー氏であることが確認できました。後は、見るも無残な彼の今の姿と比較することで、読者も納得するでしょう。ビエール・トンミー氏が『引退』したのは、安室奈美恵同様、『劣化』を嫌ったからだと」
「いや、君は間違っている。どうもマスコミは、不幸な出来事を報道することや、人を貶めることが好きなようだ」
「読者もそれを望んでいるのです。我が国の民は愚かなのです。我々マスコミは、愚かな国民に彼らが望むものを提供しているだけなのです。世論操作も簡単です。大規模な災害があり、自衛隊が救助活動に大いに貢献した後に、『自衛隊は必要か?』と訊くと、『津波や地震があった時に、救助したりしてくれるから必要』と答えるのが、国民なのです」
「必要なのは、大規模災害で救護活動をできる組織が必要なのであり、それが自衛隊であるというのは論理的ではない」
「ふふ。貴方は甘い人だ。我が国の国民を理解していない。我々は、国民の愚かさにつけ込んで商売をするのです」
「ひどい奴だなあ」
「愚かな国民がいけないのです。頭のいいやつがコントロールするのです」
「……..ふふ……..ふふ……….」
「なんです?どうしたのです?気持ち悪い笑い方は止めて頂きたい」
「君は何も分かちゃいない。君は、頭がいいつもりかもしれないが、コントロールされているのは、君の方だ」
「ええ、なんですって!そんなことはない!」
「ふふ。では、これを見よ!」


(続く)





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