2017年10月14日土曜日

【ゲス児童】『くしゃれ緑』な『ウンギリギッキ』(その16)[M-Files No.5 ]



「エヴァンジェリスト君ね?」

花と見える程の、まさに華やかさ、美しさのマダムであった『『帰国子女』子ちゃんのお母さんが、迎え入れてくれた。

『広島市立皆実小学校』5年4組のエヴァンジェリスト君は、1965年の12月、同級生の『帰国子女』子ちゃんからクリスマス・パーティーに招待され、ハハ・エヴァンジェリストが用意してくれたプレゼントを持ち、『帰国子女』子ちゃんの家を訪問したのであった。

「もう3人おみえよ」

靴(ズックだ)を脱ぎ、ついに、『帰国子女』子ちゃんの家に上ったエヴァンジェリスト君の足は、一瞬、止った。






「?......???.......3人?....えっ、他にも誰か来ているのか?」

その時初めて、エヴァンジェリスト君は、『帰国子女』子ちゃんチのクリスマス・パーティーに招待されたのが自分だけではないことを知った。

クリスマス・パーティーなのだから、他の子も招待されるのは当り前である。今なら、エヴァンジェリスト氏はそのことを理解する。

しかし、小学5年生のエヴァンジェリスト君は、クリスマス・パーティーに限らず、パーティーなんてものに招待されたのも、参加するのは初めてであったのだ。

いや、招待されたと分るその前に、まだ招待状が入っているとも分らなかったピンクの封筒を『帰国子女』子ちゃんにもらった瞬間から、エヴァンジェリスト君は舞い上がってしまっていたのだ。

自分だけが招待されたと思ったものでもなかったが、他の子も招待されていると思っていた訳でもなかった。

未経験のクリスマス・パーティーというものの場面には、自分と『帰国子女』子ちゃんとしかいなかっただけである。

「2階よ」

『帰国子女』子ちゃんのお母さんの声で、エヴァンジェリスト君は、我に返った。

玄関を上がった削ぐ横にある階段を『帰国子女』子ちゃんのお母さんが、先に上って行った。エヴァンジェリスト君は、その後を追った。

エヴァンジェリスト君の目の前を、白いものが二つ交互に動いて行った。

「誰だ?3人って?」

頭の中はその想いしかなく、エヴァンジェリスト君は、自分の目の前を行く白いものが目に入ってはいなかった。

『帰国子女』子ちゃんのお母さんのふくらはぎであった。

そして、そのふくらはぎの上でスカートが揺らめていた。揺らめくスカート方は、なんだかいい匂いまでしていた。

『帰国子女』子ちゃんのお母さんは意識していなかったであろうが、エロチックな光景であった。

自分について階段を上ってくるのは、娘の同級生の小学生だ。『帰国子女』子ちゃんのお母さんが、妙な意識を持つはずはなかった。

そして実際に、エヴァンジェリスト君の股間に『異変』は生じなかったのだ。

これが、ビエール・トンミー君であったなら、『帰国子女』子ちゃんのお母さんについて階段を上って行ったのが、ビエール・トンミー君であったなら、目の前の白いものを凝視したであろう。

そして、彼の股間にはそれまでにない大きな『異変』が生じ、その大きな『異変』のせいで、彼は階段を上るのに苦労したであろう。

ビエール・トンミー君であったなら、目の前の白いものを凝視するに留まらず、視線を上げたであろう。

揺らめくスカートを見、そして、ああ、小学生のくせに、その中を見ようと少し前屈みし、首をやや左にひねり、スカートの奥を見ようとしたであろう。


しかし、誤解はしないで欲しい。ビエール・トンミー君がそうしたとしても、それは意図的にではないのだ。持って生まれた本能、そう『変態』の本能が小学5年生の彼にそうさせるのだ。

そして、何よりも誤解しないで欲しいのは、ビエール・トンミー君は、残念ながら、『帰国子女』子ちゃんのお母さんについて階段を上って行きはしなかったのである。



(続く)



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