2017年10月22日日曜日

【ゲス児童】『くしゃれ緑』な『ウンギリギッキ』(その24)[M-Files No.5 ]



『広島市立皆実小学校』の5年生であるエヴァンジェリスト君は、動揺した。

「このクラスは、今日で最後です」

1966年3月、修了式の日、エヴァンジェリスト君と『帰国子女』子ちゃんのクラスである『広島市立皆実小学校』の5年4組は、6年になる時にクラズ替えがあることを担任の先生から知らされたのであった。

「ボクたちの『結婚』はどうなるのだ?」

エヴァンジェリスト君は、『帰国子女』子ちゃんとの『今』の『結婚』生活が消滅することを懸念した。

エヴァンジェリスト君の頭の中では、自分と『帰国子女』子ちゃんとは既に、『結婚』していたが、そのことを公表はしておらず、ただの級友として学校にいる、同じクラスにいることになっていた。

エヴァンジェリスト君の頭の中では、そういう設定になっていたのだ。後年のテレビ・ドラマ『おくさまは18歳』のような状況が、エヴァンジェリスト君の頭の中では構築されていたのである。

クラス替えがあると、その状況が崩壊するのだ。

「ボクたちの『結婚』はどうなるのだ?」

エヴァンジェリスト君は、5年4組の教室で呆然とし続けていた。





「ボクたちの『結婚』はどうなるのだ?」

エヴァンジェリスト君の懸念通り、6年生になると、エヴァンジェリスト君と『帰国子女』子ちゃんとの『結婚』は、『破綻』した。

二人のクラスが隣同士であれば、二人の『結婚』はなんとか続いていたかもしれない。

休憩時間の度に、隣の教室を除けば、『妻』はそこにいたであろう。

しかし、エヴァンジェリスト君は、10組となり、『帰国子女』子ちゃんは2組となった。

教室は、10組は、3買い建て校舎の3階の端にあり、2組は、1階の反対側の端の方にあった。その物理的な距離は、大きかった。

6年生になってまもない頃は、幾度か2組のあたりを彷徨いてみたが、なかなか『妻』の姿を見つけることはできなかった。

こうして、エヴァンジェリスト君と『帰国子女』子ちゃんとの『結婚』は、『破綻』した。

しかし、6年10組の教室にいるエヴァンジェリスト君の表情は明るかった。

とても、『結婚』生活が『破綻』したばかりの男とは見えなかった。

クラス替えがあり、自分のクラスの(10組の)教室に入った時、そこには、それまで『皆実小学校』で見たことにない子(女子)がいたのだ。

Déjà vu(デジャヴュ)な光景であった。

そうだ。1年前、1965年、『広島市立皆実小学校』の5年4組の教室には、それまで『皆実小学校』で見たことにない子(女子)がいた。

エヴァンジェリスト君は、『赤毛のアン』を読んでいなかったが、『赤毛』ではないものの、まるで『アン』のような子であった。

アメリカ帰りの、そう、『帰国子女』子ちゃんであった。

そして、今(1966年)、そこ(6年10組の教室)には、和風な美人がいた。美少女というよりも美人であった。

『トウキョウ』子さん、であった。

今度は(彼女は)、「アメリカ帰り」ではなかったが、やはり転校生であった。

『東京』からの転校生であった。『東京』の『川崎』というところから広島に来たのだ



『東京』の『川崎』がどんなところかは知らないし、『東京』のことも良くは知らなかったが、『東京』は日本の中心であることくらいは分っていた。

その頃、『東京』は、広島からは遠かった。距離的にだけではなく、まだ情報化社会でなかった時代には、『東京』は広島よりもずっとずっと凄い所なのであった。何が凄いのかは分らなかったけれど。

その『東京』からやって来た『トウキョウ』子さんには、その楚々とした容姿と合せて、広島の田舎者にはない、どこか遠い存在であった。

しかし、エヴァンジェリスト君は、怖いもの知らずであった。というか、今もそうであるが、小心者のくせに自省がきかない子であった。

6年生になって程ないある日………

下校する『トウキョウ』子さんの後20m程のところを、整った顔立ちの男子児童が、俯き加減で、しかし、上目遣いで歩いていた。



………山口県宇部市の『琴芝小学校』のビエール・トンミー君は、6年生になっても『いきものがかり』であった。

何も変わりはなかった、ビエール・トンミー君の方には。

しかし、ビエール・トンミー君は気付いていなかったが、世話をされる鶏たちには、微妙な変化が見て取れた。

ビエール・トンミー君が『鶏小屋』に入ってくると、ほんの少しであるが、ザワザワするようになったのだ。

鶏たちは、ビエール・トンミー君の体臭の変化を嗅ぎ取っていたのだ。

6年生になっても、ビエール・トンミー君は、ひたすら『うつぶせ寝』にはまっていた。

勿論、『うつぶせ寝』をする時には、注意をした。妹が同じ部屋にいない時を狙ってスルようにした。本能のなせる技であった。

その『うつぶせ寝』を重ねることで、ビエール・トンミー君の股間には、少しずつ、ほんの少しずつではあるが、異臭が溜まり始めていたのだ。


(続く)



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