2017年10月17日火曜日

【ゲス児童】『くしゃれ緑』な『ウンギリギッキ』(その19)[M-Files No.5 ]



『帰国子女』子ちゃんが、1965年12月、『広島市立皆実小学校』の5年4組の同級生たちを招き、自宅で開いたクリスマス・パーティーである。

『帰国子女』子ちゃんが、英語の本を流暢な英語で読み上げるのを聞き、エヴァンジェリスト君は、妄想した。

まだ5年生なのに、『帰国子女』子ちゃんと結婚し、子どもが出来たら、その子は『帰国子女』子ちゃんのように英語を喋るようになるのだろう、と妄想した。





………妄想はしたが、どうすれば子どもが出来るか、という疑問はなかった。

子どもの作り方を知っていたのではない。結婚しさえすれば、子どもが出来るものと思っていたのだ。

エヴァンジェリスト君は、ゲスな児童ではなかった。少なくともこの頃はまだ.....

まだ、『くしゃれ緑』『ウンギリギッキ』も知らなかった。

だが、『帰国子女』子ちゃんと結婚し、二人の間に子どもがいる姿を思い浮かべると、股間が疼いた。

いや、それはまだ疼きと云える程のものではなかった。微動であった。いやいや、微動にも到らない微かな、一種の痛みであった。本人も気付かない程の、心地良さを伴った僅かな痛みであった。

『帰国子女』子ちゃんが、英語の本を本棚に戻す時、エヴァンジェリスト君の横を通った。

微かな香りがした。

アメリカ帰りとはいえ、『帰国子女』子ちゃんはまだ小学5年生活であったので、香水を付けていたはずはない。その香りは、彼女が前夜、入浴の際に使用したシャンプーの香りであったかもしれない。リンスの香りであったかもしれない。

5年生のエヴァンジェリスト君は、その香りがシャンプーかもしれない、という思いには到らなかった。リンスかも、とは想像だにできなかったであろう。

当時(1965年頃だ)、エヴァンジェリスト君はまだリンスなるものを知らなかった。日本でリンスが普及するのはもう少し後のことだ。

しかし、問題は、『帰国子女』子ちゃんが漂わせた香りが、シャンプーから来たものであったのか、リンスから来たものであったのか、ではない。

可憐な女の子が体から自然に発した匂いであったかもしれないが(まあ、体臭だ)、それも問題ではなかった。

自分の側を通った『帰国子女』子ちゃんから発した香りの素が何であれ、エヴァンジェリスト君の股間に、それまでの微動に過ぎなかった疼きを超えた『異変』が生じた

それが何であったかは分らなかったが、動揺した。

動揺したエヴァンジェリスト君は、それまでしていた正座を崩し、脚を組み替えるふりをした。

股間の『異変』がバレたらマズイ、と本能的に思った。他の子たちに、特に、『帰国子女』子ちゃんにバレたらマズイ、と思った。



………その頃、宇部市では、『琴芝小学校』5年生のビエール・トンミー君が、少し早い時間であったが、入浴していた。

さすがのビエール・トンミー君もまだリンスは使っていなかったが、いつものように、その年(1965年)に販売開始された『エメロン』シャンプーで頭を洗った。


ビエール・トンミー君に自覚はなかったが、『琴芝小学校』では、ビエール・トンミー君とすれ違った女子児童たちは、思わず振り向き、そして、目を閉じた。

ビエール・トンミー君の美貌に惹かれ振り向き、そして、ビエール・トンミー君の残り香を嗅ぐ為に目を閉じたのだ。

その香りは、『エメロン』シャンプーのものであったかもしれないし、或いは、美少年が体から自然に発した匂いであったかもしれないが(まあ、体臭である)。


(続く)



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