2019年4月9日火曜日

住込み浪人[その51]




住込み浪人[その50]の続き)



「(エヴァの奴が、どうして?)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、吹き抜けになったOK牧場大学の学生食堂の天井の方に顔を向けた。

「(そこは、『特別食堂』だぞ)」

OK牧場大学の学生食堂には、2階があり、『特別食堂』になっていた。吹き抜けでその2階の『特別食堂』は、1階から見上げることができた。

「(『特別食堂』は、教員用なのに、どうして?大学院生も入れるらしいが…..)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、『特別食堂』から友人であるエヴァンジェリスト青年の声を聞いたのだ。

「(エヴァの奴、文学部に入ったばかりじゃないか!)」

確かに、エヴァンジェリスト青年は、一浪した後、念願のOK牧場大学の文学部に合格はしたが、それはその年のことであった。つまり、入学したばかりで、エヴァンジェリスト青年は、まだ学部の1年生のはずであったのだ。

「よっ!」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の疑問を弾き飛ばすような屈託のない声と共に、エヴァンジェリスト青年が、2階の『特別食堂』の手摺から顔を見せた。



「(エヴァ!...やはり、君か!)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、カレーの黄色が残る口を開けたまま、顔を上に向けていた。


(続く)



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