(住込み浪人[その50]の続き)
「(エヴァの奴が、どうして?)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、吹き抜けになったOK牧場大学の学生食堂の天井の方に顔を向けた。
「(そこは、『特別食堂』だぞ)」
OK牧場大学の学生食堂には、2階があり、『特別食堂』になっていた。吹き抜けでその2階の『特別食堂』は、1階から見上げることができた。
「(『特別食堂』は、教員用なのに、どうして?大学院生も入れるらしいが…..)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、『特別食堂』から友人であるエヴァンジェリスト青年の声を聞いたのだ。
「(エヴァの奴、文学部に入ったばかりじゃないか!)」
確かに、エヴァンジェリスト青年は、一浪した後、念願のOK牧場大学の文学部に合格はしたが、それはその年のことであった。つまり、入学したばかりで、エヴァンジェリスト青年は、まだ学部の1年生のはずであったのだ。
「よっ!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の疑問を弾き飛ばすような屈託のない声と共に、エヴァンジェリスト青年が、2階の『特別食堂』の手摺から顔を見せた。
「(エヴァ!...やはり、君か!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、カレーの黄色が残る口を開けたまま、顔を上に向けていた。
(続く)
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