(住込み浪人[その62]の続き)
「(んぐっ!)」
OK牧場大学の学生食堂で、友人のエヴァンジェリスト青年のアトミック・ドロップを受け、床に寝たままの『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、意識が起きる前に、股間が起きたようであった。
「(な、な、なんだ、これは?)」
続けて起きかけた意識が、疑問を持った。
「(柔らかい…..んぐっ!)」
と感じたが、それを言葉として発する装置である口が、何故か自由にならない。
「(んん?......カレー?…..んぐっ!)」
口は自由にならなかったが、鼻は解放されていた。
「(どうして、カレーの匂いがするんだ?....ああ、そうだ。学食にいたんだ……..んぐっ!)」
意識がかなり覚醒してきた。そして、それまで閉じられたままであった瞼が、ゆっくりと開いた。
「(……..?)」
開いた両眼は、間近にシミだらけの皮膚と白髪混じりの毛が飛び出している耳であった。
「(誰だ?…..んぐっ!)」
意識は疑問を持ったが、意識とは分離した股間には、ひたすら『異変』が波打っていた。
「(おじさん?)」
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿