2019年4月23日火曜日

住込み浪人[その65]







「おじ….さん?.....おばちゃ……ん?」

OK牧場大学構内にある『寮』の部屋に寝かされた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、うなされていた。

「ああ、確かに、おじさんと思っても仕方ないなあ。髭が生えていたもんな」

OK牧場大学大学院文学研究科フランス文学専攻で、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の友人であるエヴァンジェリスト青年が、誰に云うでもなく呟いた。

「んぐっ!」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、ブリッジするように、腰を浮かせた。



「ああ、あの時のことを思い出して、『反応』してるんだな」

OK牧場大学の学生食堂で、エヴァンジェリスト青年のアトミック・ドロップを受け、悶絶し、意識を失って横たわっている時に、学食のカレー担当のオバチャンに、マウス・トゥ・マウスで人工呼吸をされた時のことを云っているのだ。

「オバチャンでも『反応』するとは、さすが変態だな」

と、寝たままの『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の右手が、エヴァンジェリスト青年に伸びてきた。

「おいおい、何をするんだ。ボクは、オバチャンじゃないぞ」

と云うと、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の右手を払いのけ、エヴァンジェリスト青年は、腰をあげ、部屋から出て行った。

「あれだけ『元気』なら大丈夫だろう」


(続く)




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