2019年4月20日土曜日

住込み浪人[その62]




住込み浪人[その61]の続き)



「嫌だよ。気が付いておくれ!

カレー担当のオバチャンは、必死であった。OK牧場大学の学生食堂で、エヴァンジェリスト青年のアトミック・ドロップを受け、まだ床に寝たままの『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の許に体を寄せたままである。

「よし、こうなったら!」

と云うと、オバチャンは、胸を反り返し、大きく深呼吸をした。

「ええーっ!」

エヴァンジェリスト青年は、オバチャンが今から取ろうとしている行動を理解したのだ。

「『スミロー』ちゃん!」

オバチャンは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の花を摘んだ。

「いくよお!」

オバチャンは、自らの口を『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の口に合わせた。

「フーッ!」

オバチャンは、マウス・トゥ・マウスで大きく息を吹き込んだ。

「ブフッ!」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、息を吐いた。蘇生したのか?

「(『サキ』さん、どうして、人工呼吸を?ビエ君、少し気を失ってはいたけど、息はしてたんだけど…..)」

と、エヴァンジェリスト青年は思ったが、人生を賭けたかのようなオバチャンの勢いを前に、それを口にすることはできなかった。

「おお、『スミロー』ちゃん!....ブチュウウ!」



オバチャンは、再度、自らの口で『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を塞いだ。


(続く)



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