(住込み浪人[その51]の続き)
「やってるかい?」
OK牧場大学の学生食堂の、2階の『特別食堂』の手摺から顔を見せたエヴァンジェリスト青年が、吹き抜けになっている1階の一般学生用の食堂にいる友人に声を掛けた。
「(はあ?な、な、何をやってるか、と云うのだ?)」
声を掛けられた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、自分に投げられた質問の意味を理解しかねた。
「(勉強のことか?アイツ、いつからそんな上から目線なことを云うようになったのだ)」
二人は、広島皆実高校の同級生であったが、今は、片や大学生、自分は二浪生、それも『住込み浪人』、と立場が大きく異なっている。
「(いや、アイツは変な奴だが、嫌味な奴ではない)」
「やってるかい?ふふ」
「はっ!」
友人の含み笑いに、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、頬を薄い紅に染めた。思い当たることがあった。
「(知っているのか!)」
『住込み』部屋の万年床の中で頭から被った布団の中で蠢く自身を思い出していた。
(続く)
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