2019年4月25日木曜日

住込み浪人[その67]








「(へ?)」

OK牧場大学の校庭で、竹箒を動かす手を止めた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、視線を感じた方に顔を向けたのであった。

「(どうして?)」

自分を凝視めていたのは、学生食堂のオバチャンではなくかったのだ。花柄のミディ丈スカートに黒のニットのトップスを着た可憐な女子学生であったのだ。

「ふふ」

女子学生は、少しく顎を引き、上目遣いに『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を見ると、微笑んだ。

「(へ?)」

また、視線を感じたのだ。別の視線だ。

「ビエ様」

と云う声も聞こえたような気がした。

「(こちらも?)」

そうだ。また別の女子学生であった。襟をわざとずらしたピンクのトップスに、ハイウエストな薄いベージュのミニスカートを履き、こちらに向け口を少し尖らせていた。

「(へ?)」

いや、また、別の視線だ。

「(へ?)」

いや、またまた、別の視線だ。ああ、いくつもの視線が住込み浪人』ビエール・トンミー青年を刺していた。


「(な、な、何なんだ?)」

…..と、視線を向けてきていた女子学生の一人が、意を決したように住込み浪人』ビエール・トンミー青年に突進してきた。

「おおーっ!」

住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、思わず後ずさりした。

しかし……..


(続く)




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