(住込み浪人[その66]の続き)
「(へ?)」
OK牧場大学の校庭で、竹箒を動かす手を止めた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、視線を感じた方に顔を向けたのであった。
「(どうして?)」
自分を凝視めていたのは、学生食堂のオバチャンではなくかったのだ。花柄のミディ丈スカートに黒のニットのトップスを着た可憐な女子学生であったのだ。
「ふふ」
女子学生は、少しく顎を引き、上目遣いに『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を見ると、微笑んだ。
「(へ?)」
また、視線を感じたのだ。別の視線だ。
「ビエ様」
と云う声も聞こえたような気がした。
「(こちらも?)」
そうだ。また別の女子学生であった。襟をわざとずらしたピンクのトップスに、ハイウエストな薄いベージュのミニスカートを履き、こちらに向け口を少し尖らせていた。
「(へ?)」
いや、また、別の視線だ。
「(へ?)」
いや、またまた、別の視線だ。ああ、いくつもの視線が『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を刺していた。
「(な、な、何なんだ?)」
…..と、視線を向けてきていた女子学生の一人が、意を決したように『住込み浪人』ビエール・トンミー青年に突進してきた。
「おおーっ!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、思わず後ずさりした。
しかし……..
(続く)
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