(住込み浪人[その63]の続き)
「あら、嫌だよお」
OK牧場大学の学生食堂で、友人のエヴァンジェリスト青年のアトミック・ドロップを受け、床に寝たままの『住込み浪人』ビエール・トンミー青年に、マウス・トゥ・マウスで人工呼吸をしていた学食のカレー担当のオバチャンは、少女のように頬をピンク色に染めた。
「アタシゃ、ソンナつもりじゃないんだよ」
オバチャンは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の股間に視線を落としていた。
「(『アタシ』?えええ?おじさん、ではないのか?)
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、頬に髭が触れるのを感じていたのだ。
「でも、良かったあ。意識が戻ったようだねえ」
オバチャンは、愛おしそうに、両手で『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を頬を撫でた。
「お、お、オバチャン….」
両目をしっかりと見開いた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は今、自分に覆いかぶさるように顔を寄せているのが、カレー担当のオバチャンであることをはっきりと認識した。
「まさか、オバチャンが……!?」
と云うと、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、再び、意識を失った。自分が、『おじさん』みたいなオバチャンにマウス・トゥ・マウスで人工呼吸をされたことを知ったからであった。
「『スミロー』ちゃん!」
失いいく意識の彼方にその声を聞いた。
(続く)
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