2019年4月22日月曜日

住込み浪人[その64]







「あら、嫌だよお」

OK牧場大学の学生食堂で、友人のエヴァンジェリスト青年のアトミック・ドロップを受け、床に寝たままの『住込み浪人』ビエール・トンミー青年に、マウス・トゥ・マウスで人工呼吸をしていた学食のカレー担当のオバチャンは、少女のように頬をピンク色に染めた。

「アタシゃ、ソンナつもりじゃないんだよ」

オバチャンは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の股間に視線を落としていた。

「(『アタシ』?えええ?おじさん、ではないのか?)

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、頬に髭が触れるのを感じていたのだ。



「でも、良かったあ。意識が戻ったようだねえ」

オバチャンは、愛おしそうに、両手で『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を頬を撫でた。

「お、お、オバチャン….」

両目をしっかりと見開いた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は今、自分に覆いかぶさるように顔を寄せているのが、カレー担当のオバチャンであることをはっきりと認識した。

「まさか、オバチャンが……!?」

と云うと、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、再び、意識を失った。自分が、『おじさん』みたいなオバチャンにマウス・トゥ・マウスで人工呼吸をされたことを知ったからであった。

「『スミロー』ちゃん!」

失いいく意識の彼方にその声を聞いた。


(続く)



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