(住込み浪人[その42]の続き)
「(だけど、ボクは…..)」
実家や出身校である広島皆実高校への回想から、OK牧場大学の学生食堂という現実に戻った『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、ある女性の姿を思い浮かべていた。
「(…ああ、ボクは、ハンカチ大学に入りたいんだ!)」
そう、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、現役で帝立大学東京に合格はしたが、ハンカチ大学には現役の時も、一浪の時も合格できなかったのだ。
「(早くハンカチ大学のキャンパス・ライフを楽しみたい!)」
と、『カメムシ』や『テイトー王』について話していた二人の男子学生が、立ち上がった。
「あーあ、そろそろ行くかあ」
カメムシの解説をしていた方の男子学生が、両手を上げ、欠伸をしながら云った。
「お前は、この後、西洋美術史だろ?」
「ああ」
「美人講師らしいじゃないか」
「ああ、イケテルぜ」
「30過ぎって、おばさんじゃないのか?」
「何、云ってるんだ。丁度、いい感じ、というか、まだ20台に見えるんだ」
「博士だって?」
その言葉に、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、というか、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の体のある部分が、激しい『反応』を示した。
「(西洋美術史の美人講師で、30歳過ぎで、博士?.....まさか!?)」
カレーが少しついたままとなっている口を開け、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、二人の男子学生を見遣っていた。
(続く)
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