(住込み浪人[その59]の続き)
「『サキ』さん!カウント、カウントです!」
OK牧場大学の学生食堂で、自分をヘッドロックに捉えた友人『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を、ヘッドロックされたまま抱え上げ、その尾骶骨を、アトミック・ドロップで自らの膝に叩きつけたエヴァンジェリスト青年が、叫んだ。
「はいよ!」
声を掛けられたサキさんこと、OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャンが、返事をし、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年とエヴァンジェリスト青年を取り囲む学生たちの輪から飛び出してきた。
「うううーっ!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、尾骶骨を友人の膝にしたたか打ち付けられた後、反動で飛び上がったものの、直ぐに、体は、食堂の床に投げ出されていた。
「フライング・ソーセージー!」
と叫んだエヴァンジェリスト青年が、ジャンプすると、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の体の上に自らの体を重ねた。
「ワン、ツー!」
カレー担当のオバチャンが、体を伏せ、頬を床につけるようにして、床を平手で叩きながら、カウントを始めた。
「ええー!?あのオバチャンが、レフリー?」
周囲の学生たちは、目の前で展開されていることに、ただ驚くばかりであった。
「ス….」
オバチャンは、『スリー』と云いかけたところで、カウントを止めた。
「へ?」
エヴァンジェリスト青年は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の体をフォールにいった体勢のまま、オバチャンの方に顔を向けた。
(続く)
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