2019年5月30日木曜日

住込み浪人[その102]







「おやあ?『佐藤ミツ』、今日は、今一つ調子が出ませんね。どうしたんでしょう?」

EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』の司会者の一人、お笑い芸人のナンカイノー・アメカイノーが、『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』が回答ミスを連発し、クイーンらしくないことを訝った。

「(んもー!だってえ!)」

と、『サトミツ』は頬を膨らませる。



「(何なのよ、『んぐっ!』って!そんなの受験勉強でも出てこなったし、『テイトー』でも習ったことない。私が知らないことがあるなんて!)」

プライドに美貌のシェルを被せたとも云える『サトミツ』には、自分の知らない『んぐっ!』なるものが許せず、そのことで調子が乱され、回答ミスを連発してしまっていたのだ。

そんな『サトミツ』をスタジオCの片隅で凝視していた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、また我慢できず、

「(んぐっ!)」

となったが、両手で強く股間を抑え、その影響も抑えたので、それにより収録が中断することはなかった。

「(それにい……)」

『サトミツ』の不調には、まだ理由があるようであった……..


(続く)


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