(住込み浪人[その77]の続き)
「うわわわわわわわあああああーーーーーーー!」
OK牧場大学の校庭に、女子学生たちの歓声が轟いた。女子学生たちは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年とEBSテレビのディレクターとを取り囲んでいた。
「頑張ってえ!」
「『テイトー』なんてぶっ飛ばしてえ!」
「官立なんて糞食らえ、ってとこ見せてえ!」
「『サトミツ』の鼻をへし折って!」
女子学生たちの言葉は、上品で有名なOK牧場大学の学生とはとても思えぬものであった。しかし、それほどに、彼女たちは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の『テイトー王』出演決定に湧いたのであった。
「じゃあ、明日、迎えのクルマが来るからね」
EBSテレビのディレクターは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を肩を叩きながら云った。
「明日?」
「そうさ、明日が収録なんだよ。大丈夫だろ?」
「あ、はい…..」
「迎えは昼前に来るから、準備しておいてくれたまえ」
「準備?」
「あ、そうか。特に準備なんか要らないか。そのままの格好でいいから」
「このままで?」
「そうさ、そのパジャマでいいさ。『スミロー』らしくていいさ」
「(パジャマだと分ってたのか)」
「そりゃ、分かるさ。だって、臭いじゃないか」
と、EBSテレビのディレクターは、鼻を摘んだ。
「わっかき陽がのぼーる時!」
期せずして、女子学生たちから、OK牧場大学のカレッジ・ソングの合唱が始まった。
「おお、みんな期待してるねえ。いいねえ!」
EBSテレビのディレクターは、満悦顔であった。
「(『若き陽』だなんて、ボクは、ここOK牧場大学の学生でもないし、志望は、ハンカチ大学なんだけどお…..)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、冷静であった。
「みんな、スタジオに応援においで!」
「うわわわわわわわあああああーーーーーーー!」
(続く)
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