(住込み浪人[その98]の続き)
「いい加減にして下さい。収録の邪魔です!」
EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』を収録するスタジオCの隅で、アシスタント・ディレクターの松坂慶江が、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年に、小声だが、きつい言い方で注意した。
「え?」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年には、アシスタント・ディレクターが何を云っているのか、分らなかった。
「分ってるんですう!生『サトミツ』で興奮したんでしょ!」
「(ええ!どうして知ってるんだ?)」
「住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、ミキサー室からの報告は聞こえていないのだ。
「だって、一目瞭然でしょ!」
とアシスタント・ディレクターは、視線を『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の股間に落とした。
「(んぐっ!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、両手で股間を抑えた。
「ほら、それよ!もうまた臭い始めてるし!ああ」
そのままその臭いを吸っていてはマズイと判断したアシスタント・ディレクターは、急いでその場を離れた。
「(だって、仕方ないじゃないか。今、数メートル先に『サトミツ』がいるんだ)」
「住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、独り言い訳をした。
確かに、同じスタジオの中に、今、クイズ番組『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『佐藤ミツ』がいるのだ。生『サトミツ』なのだ。
「(ああ、見なきゃいいだろ、『サトミツ』を)」
『サトミツ』は、その顔を見ているだけで興奮させられるものであったが、クイズ問題に答える時に眼に走る光が、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の股間を射るのだ。
(続く)
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