(住込み浪人[その73]の続き)
「(ああ…ボクは、『琴芝の0069、ジェームズ・トンボ』と呼ばれていたらしい)」
OK牧場大学の校庭で、EBSテレビのディレクターに迫られた状態で、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の意識は、山口県宇部市に飛んで行った。彼が、小学生であった頃の山口県宇部市である。
「ねえねえ、あの子、『0069』みたいじゃない?」
少年ビエール・トンミー君は、『琴芝小学校』の殆どの女子たちの憧れとなっていたのである。
いやいや、ビエール・トンミー君の美貌が轟いたのは、『琴芝小学校』内だけではなかった。
神原小学校の女子児童たち、宇部学園女子中学・高校(今の慶進中学・高校)の女子生徒たち、宇部中央高校の女子生徒たちの間でも評判となっていたのである。
「『ジェームズ・トンボ』だわ、あの子」
『0069/プラチナフィンガー』が公開された頃であった。
小学生、中学生、高校生の女の子たちは、『0069/プラチナフィンガー』を見た訳ではなかったが、主人公の『ジェームズ・トンボ』は、女性をとろけさせる男の代名詞となっていた。
そこで、当時、類まれな美貌を持つ少年ビエール・トンミー君は、宇部市琴芝周辺の小学生、中学生、高校生の女の子たちの間で、『琴芝の0069、ジェームズ・トンボ』となっていたのである。
「いや、『ジェームズ・トンボ』というよりも、『太陽があっちっち』の『アラン・ドロソ』(あらん・どろそ)でしょう!」
というEBSテレビのディレクターの声が、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の意識を彼が過ごした頃の山口県宇部市から、今日のOK牧場大学の校庭に戻した。
(続く)
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