(住込み浪人[その82]の続き)
「は?後ろに乗らないの?」
OK牧場大学の正門前で待っていたEBSテレビのクルマの運転手が、助手席に座ったクイズ番組『テイトー王』のアシスタント・ディレクターに訝しそうに訊いた。
「いいんです!」
松坂慶江は、プリプリした様子でそう云うと、自分の席のクルマの窓を開けた。
「(あの人と並んでなんか座れない!)」
そこに、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、追い付いて来た。
「後ろに乗って下さい!」
命令するような松坂慶江の声に従い、クルマに乗り込んだ。
「じゃ、行くよ」
運転手は、エンジンをかけた。
「あれ、窓、閉めないの?」
「いいんですう!早く出して下さい!」
松坂慶江は、運転手に噛み付いた。
「(窓なんか閉めたら、ん、もーっ!)」
(続く)
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