(住込み浪人[その86]の続き)
「臭ーっ!」
EBSテレビ本社ビルの廊下を歩くクイズ番組『テイトー王』のアシスタント・ディレクター松坂慶江は、思わず思ったままの声を出した。
「何!この臭い!」
そして、怖かったが、思い切って振り向いた。その臭いは、後方からきていたのだ。
「(んぐっ!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、前方を凝視めたまま、両手で股間を抑えていた。
「ん、もーっ!お尻見てたのね!」
「(いや、違う!)」
「ええ?」
確かに、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の視線は、アシスタント・ディレクターのお尻、脚を超えた先に向いていた。
「ああ….」
アシスタント・ディレクターの前方から、2本の太ももが歩いてきていたのだ。
(続く)
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