(住込み浪人[その78]の続き)
「トンミーさーん!」
遠くで女性の声が聞こえる。
「ビエールくーん!」
女性の声が耳元まで近付いてきた。と共に、
「(んぐっ!)」
寝たまま、思わず両足を窄め、体を捩った。匂いに『反応』したのだ。
「あら?.....熱でもおありですの?」
OK牧場大学構内にある『寮』の部屋で寝る『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、額に冷たいが柔らかな物を感じた。
「(んぐっ!んぐっ!)」
布団の中で横にした体を『くの字』にした。
「起きて下さい、トンミーさん!私、松坂です」
「(ん?松坂?)」
「ええ、松坂です。アシスタント・ディレクターの松坂慶江です」
「(アシスタント・ディレクター?)」
「はい、EBSテレビの松坂です、『テイトー王』の)」
「は!?『テイトー王』!?」
(続く)
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