2019年11月26日火曜日

ハブテン少年[その103]




『少年』は、その年(1968年)、参議院議員になった小説家の石原慎太郎は好きにはなれなかったでが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「ボクは、『フィンランディア』より『新世界』の方がいいなあ」

『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)でエヴァンジェリスト少年と同じ2年生のジャスティス君は、好きでブラスバンド部(吹奏楽部)に入ったのだ。友人ではあるが、そこが、エヴァンジェリスト少年とは違った。エヴァンジェリスト少年は、ブラスバンド部の顧問であるムジカ先生に強いられて入部したのだ。

「(どっちでもいい…)」

エヴァンジェリスト少年は、相変らず、全体練習の時、アルト・サックスの自分が曲のどこから入っていいのか分らなかった。

「(今、どこだ?)」

アルト・サックスのパートは、メロディーラインではないので、『新世界』でも『フィンランディア』の場合と同様に、小節を数えてはいたが、段々と何小節まで進んだか分らなくなる。

「(そろそろか?)」

『新世界』には、『フィンランディア』と異なり、自分が知る部分があった。第2楽章だ。

「とーおきーやーま-にー」

という唄になっている部分である。

「ひーはおーちてー」



しかし、それ以外の部分は知らない曲であった。興味はなかった。

「(ええい!まあ、いいか、この辺で…)」

エヴァンジェリスト少年のアルト・サックスは、『フィンランディア』の時と同じように、適当に曲に入っていった。

「ブー、ブブー…..」


(続く)



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