2019年11月16日土曜日

ハブテン少年[その93]




『少年』は、その年(1968年)、好きであったNHKのテレビ番組『ジェスチャー』が終了したことで、もう、柳家金語楼のくしゃ顔が見れなくなったのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「….考えます」

少女も少年を凝視め返し、ゆっくりと言葉を吐いた。

「うん、じゃあ」

とだけ云うと、少年は、踵を返し、その場を離れて行った。

………….少年は、彼の自宅前を通って帰宅する『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)で1年下の女子生徒『パルファン』子さんを追い、廃線となった宇品線を超え、旭町の狭隘な道で彼女に追いつき、ついに声をかけたのであった。

「きみー!」
「あ、はい?」
「ボクと付き合ってくれないか?!」
「え?!」
「ボクと付き合ってくれない?!」
「あ…..」
「ボクと付き合ってくれないかなあ?!」

美少年と美少女は、他に誰もいないその道で凝視めあった。

そして、美少女はゆっくりと言葉を吐いたのだ。

「….考えます」

と。

「うん、じゃあ」

とだけ云い、踵を返し、その場を離れて行エヴァンジェリスト少年は、背中に少女の視線を感じながら、鼻息を吐いた。

「ふーんっ!」




(続く)



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