『少年』は、その年(1968年)放映が始まった『巨人の星』を面白く見てはいたものの、ダーティーなイメージしか持たない『巨人』を舞台として描いていることはけしからんと思ったが、そんなとではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その78]の続き)
「(ああ、つまらない….)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の正門を出て、翠町の自宅まで帰りながら、道端の雑草を見て、まだため息をつく。
「(『クッキー』子さん…..)」
エヴァンジェリスト少年は、『離婚』したのだ。
「(クラス替えなんかしなくていいのに)」
小学校では(広島市立皆実小学校では)、原則、クラス替えは2年に一度であったが、中学では(広島市立翠町中学では)、学年が変わる度にクラス替えがあるのだ。
「(『クッキー』子さんには、もう新しい『夫』がいるんだろうか?)」
エヴァンジェリスト少年は、まだ少年であった。心の『妻』と決めた『クッキー』子さんと同じクラスでなくなると、『婚姻』関係は消滅すると思っていたのだ。
「(もう『隠れんぼ』もできない…..)」
『妻』といっても、ただ『隠れんぼ』を一緒にするだけの関係であり、今時(2019年)の少年少女と違い、それ以上の『交際』をするわけでもなかったので、日々、同じクラスで生活を、空間を共有できなくなると、二人の関係は疎いものとなるのであった。
「(今度のクラスには、いい子はいないし)」
2年のクラスには、エヴァンジェリスト少年の心をときめかす女子生徒はいなかった。
「(初めてだ)」
子どもだが子どもなりにませていたエヴァンジェリスト少年は、小学校1年生の時から必ず、クラスに好きな女の子がいたのだ。
「(あーあ….)」
と、見るとはなく見ていた道端の雑草から視線を前に上げた時であった。
「(んぐっ!)」
(続く)
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