『少年』は、その前年(1967年)、好きであったテレビ番組『スチャラカ社員』が終了したことで、もう、藤田まことが藤純子(今の富司純子)に対する『ふじくーん』というセリフというかギャグを聞けなくなるのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その87]の続き)
「(行く!行くぞ!)」
石坂洋次郎に育てられたエヴァンジェリスト少年の中の『大人』は、もう成長の限界を超えていた。
「(来い!来い!来てくれ!)」
自宅の応接間から、垣根と門越しに見る道路に向って念じる。
「ふううんっ!」
鼻息が荒くなる。そこは、『パルファン』子さんの通学路だが、見ている間にそこを通って帰宅するとは限らない。既に、通ってしまっていたかもしれない。
しかし……
「(来い!来い!来てくれ!)」
『パルファン』子さんに来て欲しい。家の前を通って欲しい。
「(来い!来い!来てくれ!)」
通って欲しいが、本当に家の前を通ったら、と思うと、
「ふううんっ!」
鼻息が荒くなる。怖いのだ。抑えきれない自分が怖い。抑えてしまうかもしれない自分も怖い。
「(来い!来い!来てくれ!)」
通らなければ、何も起きない。仕方なかった、と済ませることはできるのだ。
「ふううんっ!」
いや、道路を凝視めているだけで、もう自分を抑えきれなくなっていた…..
(続く)
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