2019年11月19日火曜日

ハブテン少年[その96]

 


『少年』は、その年(1968年)、毎週楽しみにしていたテレビ番組『ウルトラセブン』が終了し、もう『セブン、セブン、セブーン!』で始まる主題歌を、自分も一緒に歌うことができなくなったのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「(まだ『結婚』出来ないのに、どうすればいいんだ?!)」

『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)で1年下の女子生徒『パルファン』子さんを『妻』にすることに決めたものの、そして、『妻』にすることの意味が理解できる程には『大人』になっていたエヴァンジェリスト少年は、悩んだ。

「(どうして、大人にならないと『結婚』できないんだ?!)」

今時の中学生なら、『結婚』せずとも『結婚』(と同じこと)をすることに躊躇はないかもしれない。しかし、エヴァンジェリスト少年が中学2年であったのは、まだ1968年であったのだ。

「(ああ、もうダメだあ!)

限界に達していた。自分を抑えることに、自分の心を、そして、自分の『体』を抑えることはもうできなかった。

「(行く!行くぞ!)」

だから、その日、決めたのだ。自宅の応接間から、垣根と門越しに道路を見張り、そこを『パルファン』子さんが通ったら、

「(『パルファン』子さんに云うんだ)」

と決めたのだ。しかし、決めていたのは、そこまでだった。何を云うのか、決めていなかった。いや、考えてもいなかった。

「(『パルファン』子と『結婚』するんだ!)」

とは決めていた。でも、その為には、どうすればいいのか、何を云えばいいのか、分らなかった。しかし……

「(行く!行くぞ!)」

と、心よりも体が、もう自分を抑えられず、自宅前を通る『パルファン』子さんを見た時、エヴァンジェリスト少年の中で『爆発』が起きた。そして、玄関を出、門を出て、『パルファン』子さんを追った…….




(続く)



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