『少年』は、その年(1968年)、毎週楽しみにしていたテレビ番組『ウルトラセブン』が終了し、もう『セブン、セブン、セブーン!』で始まる主題歌を、自分も一緒に歌うことができなくなったのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その95]の続き)
「(まだ『結婚』出来ないのに、どうすればいいんだ?!)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)で1年下の女子生徒『パルファン』子さんを『妻』にすることに決めたものの、そして、『妻』にすることの意味が理解できる程には『大人』になっていたエヴァンジェリスト少年は、悩んだ。
「(どうして、大人にならないと『結婚』できないんだ?!)」
今時の中学生なら、『結婚』せずとも『結婚』(と同じこと)をすることに躊躇はないかもしれない。しかし、エヴァンジェリスト少年が中学2年であったのは、まだ1968年であったのだ。
「(ああ、もうダメだあ!)」
限界に達していた。自分を抑えることに、自分の心を、そして、自分の『体』を抑えることはもうできなかった。
「(行く!行くぞ!)」
だから、その日、決めたのだ。自宅の応接間から、垣根と門越しに道路を見張り、そこを『パルファン』子さんが通ったら、
「(『パルファン』子さんに云うんだ)」
と決めたのだ。しかし、決めていたのは、そこまでだった。何を云うのか、決めていなかった。いや、考えてもいなかった。
「(『パルファン』子と『結婚』するんだ!)」
とは決めていた。でも、その為には、どうすればいいのか、何を云えばいいのか、分らなかった。しかし……
「(行く!行くぞ!)」
と、心よりも体が、もう自分を抑えられず、自宅前を通る『パルファン』子さんを見た時、エヴァンジェリスト少年の中で『爆発』が起きた。そして、玄関を出、門を出て、『パルファン』子さんを追った…….
(続く)
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