2019年11月10日日曜日

ハブテン少年[その87]




『少年』は、その年(1968年)、好きであったテレビ番組『てなもんや三度笠』が終了したことで、もう、平参平の『足カックン』ギャグを見れなくなるのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「んぐっぐっーっ!」

石坂洋次郎は、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)2年生であるエヴァンジェリスト少年の中の『大人』を抑えきれない程に育てていった。

「んもー!」

と好きな男にフクれて見せるのが、松原智恵子が演じる石坂洋次郎ドラマのヒロインなのか、『パルファン』子さんであるのか、段々、判別がつかなくなってきていた。

「(可愛い!)」

好きな男に対してフクれる彼女は、松原智恵子であるのか?

「んもー!」

或いは、『パルファン』子さんであるのか?



「んぐっ!」

体の中の募る何かに突き上げられる。

「んぐっ!」

自宅に戻ると、頻繁に応接間から、垣根と門越しに道路を見る。

「(まだか?いや、もう通ったのか?)」

そこに『パルファン』子さんの姿はなくても、網膜には常時、『パルファン』子さんの像が写っている。

「んぐっ!」

学校でも、授業中以外は常に『パルファン』子さんを探す。いや、授業中でも校庭に眼を遣る。体育で校庭に出てくるかもしれない。理科室に移動するのに通るかもしれない。

「んぐっぐっーっ!」


(続く)



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