『少年』は、その年(1968年)、毎週楽しみにしていたテレビ番組『ウルトラセブン』が終了し、もう『セブン、セブン、セブーン!』という主題歌を聞けなくなったのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その94]の続き)
「ボクと付き合ってくれないか?!」
とエヴァンジェリスト少年は、声をかけたのだ。
「ボクと付き合ってくれない?!」
その日、彼の自宅前を通って帰宅する『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)で1年下の女子生徒『パルファン』子さんを追い、廃線となった宇品線を超え、旭町の狭隘な道で彼女に追いつき、そう声をかけたのだ。
「ボクと付き合ってくれないかなあ?!」
どうして、そう云ったのか、分らない。
「(『パルファン』子さんに云うんだ)」
決めていたのは、それだけで、何を云うのかは決めていなかったのだ。
「(ボクは、『パルファン』子さんと結婚するんだ!)」
そう思っていたことは確かだ。しかし、2人共、まだ中学生であった。中学生はまだ結婚できない。そのことは分っていた。
「(んぐっ!)」
『結婚』のことを思うと、体の下部から突き上げてくるものがある。
「(『パルファン』子っ!)」
呼び捨てにした。もう中学生で、『結婚』とは『何』をするものか理解していた。その『何』をする時のことを考え(具体的なイメージを抱くことはまだ出来なかったが)、『その時』、自然と彼女を、『妻』を呼び捨てにした。本能である。
(続く)
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